コロスケが仔猫のお披露目をしてから1ヶ月ほどたったある日の事。
次に会った仔猫はキッちゃんの子供達だった。
歩いててふと横に目をやった時、民家の通路の奥の方に
キッちゃんが仔猫達にお乳をあげているのを偶然発見したのだ。
4匹位いた。
時々ゴハンをくわえて民家の方へと歩いて行っていたので
仔猫が産まれたんだなぁとは思っていたが
キッちゃんの仔猫も一年以上見ていなかったのですごく嬉しかった。
写真は偶然持っていた望遠で撮ったもの。
いつものカメラならキッちゃんも仔猫も豆豆猫だった(笑)
その後、仔猫達を見かける事もなく10日ほどたったのだが
すぐ横の廃墟と化した建物の入口下の木が腐った隙間で
キッちゃんが子育てをしているのに気付いた。
そしてその建物の裏はもうみんなのいる場所。
じわりじわりと進出してきてるなと思っていると
次に行った時にはすっかりデビューを果たしており
まずはの紺色の車の下をキッちゃん一家が陣取っていた。仔猫は3匹だった。
紺色の車とはころすけの子供を乗せて走って行った車だ(苦笑)
(その頃にはころすけ達は横の空き地へ移動)
キッちゃんの仔猫達はガリガリに痩せていて目やにもひどかったが、
缶詰をあげると、割り込んできたキクちゃんにも負けず、
横から一生懸命食べていた。
その姿は、地にしっかり足をつけ、生きようとする姿勢なのだなーと
ガリガリのくせになんだかたくましく見えたものだった。
余談だが、キクちゃんとキッちゃんって
なんとなく、キクちゃんの方が立場が上な気がする。
キッちゃんはいつでも威嚇しているけど
キクちゃんがたまに一喝すると大人しくなるのだ。
この日は二匹並んで座っているという珍しいシーンを見てしまった。
キッちゃんの子供がおかあさーんとその間に入っていったのがとても可愛かった。
こんな事もあった。
私がキッちゃんの存在に気付かず、
仔猫達のいる紺色の車の近くを通り過ぎようとしたら、
突然フシャーッと、それはもう今までにない位の迫力で威嚇されてしまった。
キッちゃんママ、仔猫を守る為に格段凄みが増していた。
ただでさえ凶暴なのに(苦笑)
そして、そのまま元気に育ってくれれば・・・と願っていたのだけど・・・
お盆頃の事だが、その日キッちゃんの仔猫がぽつんと1匹だけ車の下にいたのだ。
兄弟達は?お母さんは?と疑問に思いながらも
そんな日もあるかなと車の下を覗き込んで仔猫に話しかけた。
その日はカリカリしか持ってなく、とりあえずと出してみたがまったく反応なし。
キッちゃんママがいないのをいい事に車の下にしゃがみこんで手を伸ばしてみた。
少し威嚇してきたが、撫でさせてくれた。
近くで見ると思った以上に目やにがひどく、両目共にろくにあけられていなかった。
とりあえず明るい所に出してみようと捕まえると
抵抗する力もないのかあまり嫌がらなかった。
見てみると、仔猫は後ろ足を怪我している様で
もう片方の後ろ足は外傷は見られなかったが
何かおかしくなっている様な感じだった。
なんとか歩いて移動は出来るもののしっかりと立ててはいなかった。
今になって思うと、キッちゃんの仔猫達もまた、車の裏にすぐ隠れていたので
ころすけの子供達と同じ様な目にあってしまい、
事故にでもあってしまったのかもしれない。
色々悩んだが、とにかく食糧をと仔猫用缶詰とミルクを買いに走り
戻ってみるとさきほどいた場所に仔猫の姿がない。
どこどこ?と見回すと、もう一台の車の下の車ドメに寄りかかって寝ていた。
ホッとして、ミルクをあげてみた。
ミルクの臭いに反応して少し飲んでくれたが
食欲はないらしく、仔猫用缶詰も一舐めしてやめてしまった。
しょうがないので仔猫の目やにだけでも拭いてやると少し目が開いた。
ずっと撫でながら私はただじっと様子を見ていた。
そしてそのまま仔猫はそこで寝むってしまった・・・
片足はもうダメだと思った。
あそこにいる間、ほんとにいろんな事を考えた。
でも眠った仔猫の顔を見て・・・
結局私は一人で帰ってきてしまったのだ・・・
なんで助けてあげないんだろう。
なんで助けてあげられないんだろう。
なんで・・・
ずっと頭の中でぐるぐる回っていた。
余計な事をごちゃごちゃ考えてはいつだって動けない自分がいるのだ。
悔しさと情けなさで・・・いっぱいだった。
そして次の日、その次の日も、3日続けて行ってみたが、
もう仔猫の姿は、というよりキッちゃん一家の姿はすっかり消えていた。
次にキッちゃんに会えたのは1週間後の事だった。
その日も会えないのだろうと半ば諦めつつ
数軒隣りの第二駐車場に探しに行った。
すると、なんと白いワゴンの下にキッちゃんがいるのだ。
仔猫の姿は全くなく、キッちゃん一匹だったが
それでも会えた事がすごく嬉しかった。
しかし一瞬でその嬉しさも消え去った・・・
キッちゃんの左側の首のつけ根の所が大きくパックリ切れているのだ。
5センチくらいはあったと思う。
あまりにひどい怪我で血の気がひいた。
仔猫に続いてキッちゃんまで・・・なんで・・・
そして目と鼻の先なのに、キッちゃんはみんなのいる所には戻らず
ずっと第二駐車場にいる。
傷はその後回復に向かっていてホッとしていたのだが
昨日会いに行ったら少し元気がなかった。
怪我と闘う日々なのだろう・・・
救いになったのは、一匹だけキッちゃんの仔猫が育っていた事。
8月の終わりにキッちゃんと一緒にいる所を見つけた。
仔猫は私の顔を見るなり一目散に逃げて行き
隠れてしまって全然出て来なかったが
なんとなくコロコロ太ってきてたようだし随分大きくもなっていた。
他の仔猫達の分まで強く元気に生きて欲しいと
ただただ願うしか出来ない私だった・・・